「予約はね、取ってあるんだ」
ここは一般の和風建築のご家庭ではないですか?という雰囲気。植え込みの間を縫うような小道に、白くきらきら輝く玉砂利がまかれていて、その中をまるでここを通って行くいんだよ、と教えるように木曽石《きそいし》――花崗岩《かこうがん》――の丸っこい飛び石が伸びる。
頼綱《よりつな》の家の、長い長い石畳の通路とはまた違った風情で、規模が小ぢんまりしている分、どこか鄙びていて趣深いようにすら感じられて。
今は昼間だから付いていないけれど、道のそこここに配置された小さな灯籠型ガーデンライトは、暗くなってきたら通路を照らす道しるべになってくれるんだろう。
その飛び石の道を、頼綱について恐る恐る渡って行く。本当にここ、お店……なのかなぁ?
どう見ても一般のお宅にしか見えない。 不用意に付いて行ったら、家の中から和装美人な頼綱の彼女とかが出てきて「あらヨリさん、ご飯食べに来てくれたの? 入って、入って♥」とか……そんなことにならないかしら。 三文芝居のようなチープな絵面が思い浮かんで、思わず足が止まってしまう。だって、もしそんなことになったら、そこにのこのこ付いていって居合わせた私は、とんだ道化役だもの。
「花々里《かがり》?」
と、急に立ち止まってしまった私をいぶかしんだ頼綱に呼びかけられて、早くおいで?と急かされるように手を引かれた。
「あ、あのっ、私やっぱり……」 帰る!って言おうとしたら、頼綱の背中越し、縦格子の引き戸にシンプルな生成りの半暖簾《はんのれん》が掛かっているのが見えた。 暖簾があるってことはやっぱりお店だったんだ!とホッとした私は、現金にもそそくさと頼綱の横に並んだ。暖簾には墨でさらりと書き流したような流麗な文字で「あまみや」と書かれていて――。
せっかく暖